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【バスツアー】町長がバスガイドツアー【南富良野町・上富良野町】(後編)

前回、南富良野町を満喫した町長がバスガイドツアー・南富良野町&上富良野町編

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前回の記事

何度も参加しているという根強いファンも多い、シィービーツアーズカンパニーの人気ツアー「町長がバスガイド旅」。その名前の通り、各町の町長がバスに同乗して町の見どころや自慢などを教えてくれるという、なかなか体験できないユニークなツアー[…]

2日目は南富良野町を後にして、およそ50km北にある上富良野町を巡ります。

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朝食を食べて「ハートヒルパーク展望台」へ。上富良野町長と合流!

南富良野町の食を大満喫したディナーから一夜明け、今日も元気に富良野エリアを巡ります!
昨日あれだけ食べても、やはりお腹は空くもの。朝食は、道の駅南ふらののフードコートにある肉どころ燈(あかり)のカツサンド。
テラス席で景色を眺めながら、すがすがしい空気とともに頂きこれからのバス旅に備えます。

ホテルを後にしておよそ40分、富良野市にある「ハートヒルパーク展望台」で休憩&景色を観賞。
ただ、この日は雲の中に入ってしまい視界はほぼゼロ…

天気のいい日であれば富良野の街並みや富良野西岳などの山々が見渡せるそう。
残念ですが、こればかりは時の運です!

そしてここからは上富良野町の斉藤繁町長が乗車し、ツアーの最後まで同行してくれます!

にこやかな笑顔と人柄が印象的な斉藤町長。
56歳で身長175cm、体重75kg、AB型のふたご座です!」と妙に詳細なプロフィールをお教えいただき、ツアー参加者の笑いを誘っていました。

バスの車窓に広がるのどかな畑風景。そこからは湯気が立ち上っており「何で煙が出てるの?」と質問が。
これは地霧と言い、湿った冷たい土が早朝の太陽に照らされ、水分が蒸発してこのような現象が起こるのだそう。
「これが見られるのは暖かくなっている証拠。先ほどの展望台は残念でしたが、これからはきっと晴れますよ」と嬉しいアナウンス!

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日本でここだけ!の博物館「土の館」

展望台からおよそ20分北上し、上富良野町の「土の館」に到着!
アナウンスの通り、先ほどの天気が一転して気付けばとっても気持ちのいい晴天に。

高台に建つ土の館の前には、上富良野町の街並みが広がっていました。
展望台でもこの天気であれば…

土の館では田村政行館長が案内をしてくれます。
ここは上富良野生まれの農機具メーカー・スガノ農機が運営する日本で唯一の土の博物館
田村館長の隣に並ぶのは各地の土壌を実際に掘った断面標本(モノリス)で、それぞれの土の特徴を目で見て知ることができます。

中でも圧巻は、上富良野町の泥流地帯を採掘した長さ4mのモノリス
モノリスの右側に2・3と番号がふってある土の層は、1926年の十勝岳噴火によってもたらされたおよそ2mの泥流。
この部分は流木や石、そして硫黄の鉱毒を含んでおり、草も生えなくなった土壌です。
「外からはそんな土地手放せばいい、と気軽に言えるかもしれませんが実際に住んでいる人には簡単ではありません。今のラベンダーやお米、メロンなどが実る上富良野の土地は、この土をなんとか改良した先人たちの苦労の上に成り立っているんです

また、「展示しているプラウ(土を耕す農具)は国立科学博物館の重要科学技術資料(左)に認定されているほか、土の館全体が日本機械学会の機械遺産(右)と北海道遺産に認定されているんです」と田村館長。
特に機械遺産はふつう一つの機械が認定されるもので、博物館全体が認められるというのは非常に珍しいことだそう

ほかにも、世界の農耕の歴史がわかる貴重な資料展示や実際の土を使った土壌改良の過程の図解、スガノ農機の歩みなどを紹介。
うちの家庭菜園の参考になるわぁ」なんていう声もちらほら。

中でも圧巻の展示が世界中のトラクターを集めたトラクタ博物館
70台以上のトラクターがズラッと並ぶさまは壮観です!

展示の中でも一番古い、1902年に作られた蒸気エンジンのトラクターは土の館に運ばれてからメンテナンスを重ね、実際に動かしたことがあるそう!それが下の動画!

石炭を燃やし、蒸気を噴き出しながら農地を走る様子はどことなくユーモラスですね。

ちなみに、農業用のトラクターが北海道の農家で初めて導入されたのは1951(昭和26)年のこと。
価格はおよそ100万円と1年半の売り上げに相当し、ほとんどが借金をして購入する代物でした。
しかし、それが逆に土を耕す励みになったのだそう

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こうした農家の方々の苦労があって今の北海道があるんだなあ、と改めて実感させられます。

「後藤純男美術館」で作品鑑賞と昼食

午前の最後は古都や寺社仏閣、四季、そして北海道の自然を描いた日本画家・後藤純男さんの作品を展示する「後藤純男美術館」へ!
この美術館は元々アトリエとして1991年に建てられ、1997年に美術館を、レストランや資料室を2002年に作るなど増築を繰り返して今の形になったのだそう。
自身の代表作のほか初期の作品や素描など、所蔵・展示する作品はおよそ500点にものぼります。

ギャラリーに入ると驚かされるのが作品の大きさ。
写真は縦180cm、横1400cmという一番の大作『雲海黄山雨晴(うんかいこうざんうせい)』。
中国の世界遺産・黄山を日本画の技巧で描いたものですが、このサイズ感は絶対に見てみるべきです!
また、この大きさをいかして雨が降っている右側から雲の間に太陽が昇る左側へと、時間が流れる様を表現しているそう

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ちなみに路線バスは高さ約3m・長さ約11mなので、この作品はバスよりもさらに長いです
どれだけ大きいのか、少し伝わるでしょうか…

そのほか、首相官邸にも展示された『桜花浄苑雙図(おうかじょうえんそうず)』や

北京の寺院を描いた『雷鳴』、燃えるような紅葉を写し取った『秋の談山神社・多武峰』などさまざま。

展示室は7つあり、初期の作品を集めた第1展示室や北海道を描いた作品がある第6展示室など、テーマごとに収蔵。
また、素描展示室や第5展示室には小さなキャンバスに景色を写し取った作品も。
これまで大きな作品を見てきた分、なんだか逆に新鮮です

さまざまな作品を観賞したあとは、美術館2階にある「レストランふらのグリル」にて昼食タイム。
地元のブランド肉、ふらの和牛かみふらのポークを合いびきして手ごねしたハンバーグをメインに、富良野・美瑛産の素材を中心に使ったメニューが並びます!
脂のうまみを引き出した和牛と、飼料にこだわりのびのびと育てた豚肉…このふたつで作るハンバーグが美味しくないワケもなく、とってもジューシーで大満足。

窓の外には畑と丘が連なる富良野エリアらしい景色が広がっており、食事もより一層おいしく感じられました!

上富良野町の町長室にお邪魔します

絵画と昼食を堪能した後は上富良野町役場に伺い、お待ちかねの町長室見学。
まずは町長席に座ってツーショットをパチリ!と撮って、その後はしばし歓談。
うちの孫が今度大学生なんだけれども、上富良野町役場は就職どうでしょう?」なんて率直な質問も。これには町長も苦笑い。

窓が広くて見晴らしのいい町長室ですが「実はここから十勝連峰が見えるんですよ」と斉藤町長。
「あそこの、目を凝らすと白煙が上がっているのが見えますかね。あれが十勝岳で、活火山のため火口からガスが出ているんです」。

土の館でもふれた十勝岳の噴火ですが、これは過去の話ではありません
「特に近年は活発化の兆候を示しています。噴火はいつ起こるか分からないけど、必ず発生するものなので注意は怠れないですね」。

次に伺うスポットでは、その十勝岳の噴火と上富良野町の歴史にふれていきます。

「上富良野町郷土館」で十勝岳噴火と開拓の歴史を学ぶ

美瑛・上富良野エリアは北海道に6つある日本ジオパークのひとつ「十勝岳ジオパーク」に2022年に認定されています。
この郷土館ではジオパークや上富良野の開拓の歩み、十勝岳噴火による被害などが学べます。

1階は十勝岳の火山活動とともにできた大地と、各ジオパークの概要が知れるコーナー。
ちなみにこのコーナー、2023年7月にリニューアルしてできたばかりだそう。
ツアーが9月末の開催だったため、早々に見られてラッキー!

1926年の噴火の資料として、泥流でねじ曲がった線路や泥の海に腰まで浸かって自転車を引き上げる人の写真をカラー彩色で展示。
「鉄路がインフラとして重要だったこともあって、この線路はわずか4日ほどで復旧したそうです」と町長が言うと「えーっ!」という驚きの声が上がります。

火山災害のすさまじさを物語る、泥流とともに流された埋もれ木。
「こんな大きな木が山ほど流れてくるなんて、想像できない」とつぶやくように感想を漏らしていました。

なお、この火山災害とそこからの復興は三浦綾子さんの小説『泥流地帯』の下敷きにもなっています。
泥流地帯は現在、映画化プロジェクトが進んでいるそう。こちらも要注目です!

2階に上がると、こちらは開拓から入植、そして現代に至る上富良野の歴史をさまざまな資料で物語るコーナー。

まずお出迎えしてくれるのが上富良野を開拓した田中常次郎さんらのジオラマ。
1897(明治30)年に三重県から入植し、ニレの木の下で一夜を明かした状況を再現しているのですが「知り合いのおじさんに似てる」「プロレスラーの藤原組長にそっくり」と妙な人気ぶりでした。

ほかにも、実際に使われていた農機具や家財道具などで開拓の歴史と実際の暮らしぶりを紹介。

一階にて写真で見た、泥流と線路の実物も展示。
ぐんにゃりと曲がったレールの姿が噴火のパワーを生々しく伝えます。

今回のツアーで改めて思ったのは、当然ですが写真で見るのと実物を見るのは大違いということ。

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便利な世の中になり、なんでもネットで調べるだけで済ましてしまいがちですが、実際に足を運び、目で見ないと分からない迫力があります!

上富良野町のソウルフード・豚サガリと老舗菓子店の銘菓をおみやげに

上富良野町で生まれたというグルメが「豚サガリ」。
その元祖だというのが1967(昭和37)年に創業した「多田精肉店」です。
焼肉=豚サガリという上富良野町民も多く、まさにソウルフードと言えます!

ちなみに、サガリというのは横隔膜についている筋肉のことでホルモンの一種。
一頭の豚から2~300gほどしか取れない部位ですが、養豚業が盛んな上富良野町では新鮮な素材が豊富でした。

そして肉質が柔らかく、程よく脂も乗ってジューシーといいことづくめ!
販売を始めた約50年前には一般には知られていませんでしたが、その味わいが評判を呼んで今や町の名物に。上富良野町に行ったら豚サガリはマストですよ!

多田精肉店を出て300mほど歩いた場所にある「あかがわ菓子司(かしし)」は1925(大正14)年創業の老舗。
和菓子屋さんのような雰囲気ですが、ショーケースにはケーキなどの洋生菓子がずらり。

オリジナル銘菓も多数あり、その中でもオススメなのが「フラヌイラベンダー」。
アーモンドスライスを固めたクッキーでホワイトチョコをサンドした、食感も楽しいお菓子です。

斉藤町長も「私も出張がある時はよくお土産にフラヌイラベンダーを買っていくんです」とニッコリ。
私も購入して食べたのですが(写真失念)ザクザクとした食感とアーモンドの香ばしさ、チョコの甘さが一体になっており、確かに美味
通信販売などはしていないので、あかがわさんに行かないと買えない限定スイーツですよ!

お土産を購入してバスに乗り込んだら、名残惜しいですが札幌に帰ります…
朝から同行してくれた斉藤町長ともここでお別れ
町長の見送りの挨拶に、こちらも乗客全員の大きな拍手で見送らせて頂きました。

上富良野町ともお別れする前に「千望峠駐車公園」でひと休み。
バスから降りてみると、見事な秋晴れと十勝連峰の見晴らしが!

十勝岳の噴煙もくっきり。
あそこから資料館で見た災害が起こったんだなあ…と、ツアーでの学びに美しい眺めもちょっと見方が変わります

これまでぼんやりと「ラベンダーのまち」という印象だった上富良野町ですが、町長と一緒に巡る中でさまざまな側面が見えてきて、知らないことばかりだったなあ…とちょっと反省。
町長からの熱い想いを直接聞ける「町長がバスガイドツアー」、改めてオススメですよ!

\町長ツアーの情報はこちら/

※当記事の内容は2023年11月27日時点の情報です。

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