大通公園の東に建つ「中央バス札幌ターミナル」は、1966(昭和41)年にできた歴史ある建物。
日々さまざまな路線のバスが行き交い、多くの市民や観光客が利用しています。
その地下に昭和レトロ感たっぷりの食堂街があるのは、皆さんご存じでしょうか?
現在6件のお店が並ぶ食堂街、あまりの風情に「知っているけど入りづらくて…」と尻込みしている人もいるかと思います。
今まで取材お断りのお店も多かった中、当記事ではおそらく初めて、全てのお店を一挙紹介!
人気のメニューやお店の雰囲気をどこよりも詳しくお伝えします。
ランチタイムには行列ができるラーメン店やしっぽりと飲める居酒屋など、どれも名店ぞろいで一度入ってみれば足しげく通っちゃうこと間違いナシ! ですよ♪
ちなみに、大通バスセンターは創成川通沿いに200mほどと最寄りですが別の場所です。間違われる方もいるのでご注意を!
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ルーハシモト
昭和ムード漂う地下食堂街にぴったりの、レトロな看板が印象的な新店が「ルーハシモト」。
メニューはビーフカレーひとつに絞っているため、提供まであっという間!
時間に追われるサラリーマンにはとってもありがたい一軒です。
店内はカウンターのみで全8席。
お昼どきには店外に行列ができますが、意外と待たず席につけますよ。
「ビーフカレー」750円は圧力鍋でうま味を抽出した道産牛のスネ肉のブイヨンと、じっくり炒めたタマネギが味の決め手。そこに数種類のスパイスをブレンドして仕上げています。
「試作を繰り返していくうちに、誰もが食べられるような日本のカレーの味になりました」とオーナーの橋本さん。
やさしい甘さを感じるまろやかな味わいは、まさに日本式のルーカレー。その陰でほのかにスパイスが香ります。
ホロっと煮込まれたスネ肉がゴロリと入っているのも嬉しいポイントです!
辛さを求める方は卓上の「辛味スパイス」で適宜調整を。ただ、かなり辛みが強いため、かけすぎにはご注意!
メニューはビーフカレーのみですが、大盛りに加えて3種類の追加トッピングを用意。
栗山町の卵黄100円や十勝のチーズ250円など、どれもこだわりの道産素材を使っており、すべてトッピングするとおそろしく豪華な内容に!
ランチをサッと済ますのもいいし、トッピングで贅沢にしてみるのもアリ。
テイクアウトもできるとあって、まさに忙しいお昼の味方ですね!
店舗情報
名前 | ルーハシモト |
電話番号 | 011-590-6563 |
営業時間 | 11:30~14:20(ルーが無くなり次第終了) |
休み | 不定休 |
HP | https://j-curry.jp/ |
居酒屋 くっちゃん
地下食堂街で30年以上にわたり営業した「いっぴん定食 藤」。
その跡に新たに「居酒屋 くっちゃん」がオープンしました!
同店は狸小路10丁目の通称「ひょうたん横丁」にのれんを掲げていましたが、マンションの建設によってお店が取り壊しに。
次の物件を探していたところ地下食堂街を見つけ、2024年5月に移転しました。
「西の端から東の端に、昭和な場所からまた昭和な場所に移ってきました」と女性店主の澤野さんは朗らかに笑います。
以前はカウンターのみの15席ほどでしたが、移転後はテーブル10席・カウンター12席の全22席に。
広くなったうえ、「駅から近くなって通いやすくなった」なんて笑う常連さんもいるそう。
「くっちゃん」という店名だけに店内には倶知安町やニセコ町のポスターが。
澤野さんは小学2年生から高校卒業までを倶知安町で育ち、お店を開業する際も思い入れのあるこの名前にしたのだそう。
倶知安町やニセコトークで盛り上がることもしばしばです。
食事メニューは308円から用意し、お通し代や席料などはなし!「ですので、気軽に立ち寄ってください。そのかわり一人一品食事の注文をお願いしています」とのこと。
そしてフード・ドリンクともに日替わりのメニューが多く、季節の食材を使った料理やその時期イチオシの日本酒が揃います。
今回は定番メニューでも特に人気だという「串カツ」550円と「ポテトサラダ」440円、そして季節の日本酒「二世古 彗星 特別純米」825円を注文。
こんがり揚がった串カツはど~んとビッグサイズ!これ一本でお腹いっぱいになりそうです。
箸で持ち上げるとサイズ感がより伝わるでしょうか。一口では頬張りきれない大きさです!
「うちの料理は量が多めなので、お腹の具合によっては減らしたりもできます。注文する際に要望などあればお伝えください」と澤野さん。
私もひょうたん横丁時代に何度か伺ったことがあるのですが、移転しても変わらず昭和で居心地のいい雰囲気!
一見さんも入りやすいお店なので、気軽にのれんをくぐってみては?
店舗情報
名前 | 居酒屋 くっちゃん |
電話番号 | 070-8544-3144 |
営業時間 | 16:00~22:30(LO22:00) |
休み | 日・月曜 |
らーめん紫雲亭
ラーメンの街・札幌でも評判の人気店が「らーめん紫雲亭」。
こちらはかつて札幌市の西区にあったお店で、2015年に移転オープンしました。
お店で鍋を振るうのは、移転前に同店のオーナーだった及川さん。
元々は洋食のシェフでしたが、狸小路にあった名店「富公」の味を再現しようとラーメン職人に転身。
その味は口コミで評判を呼び、関係者から富公の暖簾を譲られるほどになりました。
しかし、西区のお店は一度閉店してしまいます。
それを惜しんだのが、紫雲亭の大ファンで及川さんを「大将」と慕う現オーナー・内山さん。
及川さんを説得し会社も辞め、経営を内山さん、調理を及川さんが担当することで再び暖簾を掲げました。
厨房では二人が息の合ったコンビネーションでラーメンを作っています。
一番人気という「醤油ラーメン」900円を注文すると、あっという間に完成。
スープは豚骨を8時間煮込み、魚介なども加えた白湯スープ。さまざまな旨味が閉じ込められています。
また、醤油ダレは豚の筋を煮込んだエキスや本醸造醤油を使っており、完成まで2日間もかかるのだとか!
麺も特徴的で、西山製麺の中細・低加水の縮れ麵。
旭川風なんですね、と伺うと「実は味の三平が流行る前は札幌もこのタイプの麺が殆どだったそうです」と内山さん。なんとこの麺は富公のレシピをそのままに特注しているのだそう!
そのほか、プリっとしたキクラゲやしっとりしたチャーシューなど、隅々までこだわりが光ります。
また、セットメニューとして人気なのが「キーマカレー」350円。
スパイスをホールから砕いて調合しラーメンスープなどと合わせた本格的なカレーで、複雑な香りと後から辛さが追ってくる逸品です。
セット限定なので単品では注文できませんが、お腹を空かせてぜひ食べてみて下さい!
店舗情報
名前 | らーめん紫雲亭 |
電話番号 | 011-271-4010 |
営業時間 | 11:00~14:00(スープ、食材などある場合のみ16:00~18:00も営業、土曜、一部祝日は昼営業のみ) |
休み | 日曜・第1月曜、一部祝日 |
HP | https://www.facebook.com/profile.php?id=100054480099264 https://www.instagram.com/ramen_shiuntei/ |
リトルチャイナ
「リトルチャイナ」は地下飲食店街で2番目の古株店。
2000(平成12)年に開業、20年以上続く老舗の中華食堂です。
店内はテーブルとカウンターの20席ほどで、昔ながらの街中華の雰囲気。
最近はこういうお店、減ってきていますよね…
カウンターには常連さんが頼んだボトルがずらりと並んでいます。
人気のメニューはチャーハンとあんかけ焼きそばをハーフ&ハーフでワンプレートに盛ったランチ「Aセット」700円。
ちなみにAセットはしょうゆ味、Bセットの場合はエビが入った塩味に。
そのほか、「チャーハン」500円や「みそラーメン」600円など、どれも良心的な価格です!
また、中華といえばギョウザ。「焼きギョウザ」400円は食べやすい一口サイズのギョウザが一皿に10個も乗り、「ビール」500円などお酒のおつまみにピッタリ!
「夜は自家製味噌で仕立てたホルモン鍋も人気です」と女性店主の海老名さん。
ちなみに、暖簾などに描かれたキャラクターの愛称は「リトルちゃん」。開店当初からのトレードマーク的なキャラクターです。
取材途中には常連さんが訪れて、談笑をしながら宴会の予約をしていました。
「ここは皆の距離が近くて良い所だよ」と常連さん。なんだかほっこりとする一軒でした。
店舗情報
名前 | リトルチャイナ |
電話番号 | 011-219-0600 |
営業時間 | 11:00~21:00 |
休み | 日曜、祝日(土曜不定休) |
手打ちそば処 紬 (つむぎ)
「手打ちそば処 紬(つむぎ)」は道産そば粉を使う、食べごたえのある田舎そばが味わえる一軒。
店名の通り手打ちの麺にこだわっており、女性店主の烏山さんが毎日朝早くから打っているというのだから頭が下がります。
店内はカウンターのみで11席。通路に面した側にも席を用意します。
メニューには「もりそば」500円や「かけそば」500円、「かしわそば」600円や「天ぷらそば」900円などの定番が並びます。
麺は並粉を使う白い八割そばと黒っぽい八割田舎そば、そして石臼挽きの十割そばと3種類から好みが選べます(十割そばは+100円)!
写真手前左が並粉の八割で右側が八割田舎そば、奥が十割そばで、それぞれに風味や食感が異なります。
「並粉しか食べないという常連さんもいれば十割だけの人、その日の気分で変える方もいて面白いですよ」。
人気メニューの「たぬきおろしそば」600円は、天ぷらがドーンと乗るボリューム満点の一杯。
普通のワサビと山ワサビ、うずら卵など薬味も豊富なのが嬉しいポイントです。
上に乗る天ぷらはその時々で変わり、この日はアスパラや長いもなど4種類。
そして秋になるとナスビが入るなど、旬の素材を使います。
そば猪口につゆを入れて食べてもいいし、写真のようにかけて味わうのもOKですよ。
温かいそばで人気なのが「親子そば」650円。
玉子と鶏肉のほか、シメジや小松菜も入る優しい味わいの一杯です。
このほかにもかけそば、またはもりそばにハーフ天丼がつく「紬セット」900円なども用意。
こちらはおそばをハーフにして、天丼を通常サイズにすることも可能です。
なお、麺が無くなり次第終了で、すぐ売り切れる日もあれば営業時間通りの日もあるそう。
鳥山さんも「こればっかりはその時々だからわかりませんね」と苦笑いしていました。
また、お昼時はなるべく避けて時間に余裕をもって行くのがオススメです。
店舗情報
名前 | 手打ちそば処 紬(つむぎ) |
電話番号 | 011-207-4038 |
営業時間 | 12:00ごろ~16:00(LO15:30、麺が無くなり次第終了) |
休み | 不定休(おもに土曜日で月一回程度) |
轍(わだち)
2022年にオープンと、地下食堂街で一番新しいお店が「轍(わだち)」。
扉を開けると、気さくで笑顔がステキなマスターが迎えてくれます。
店内はカウンターとテーブルの17席ほど。
知らないお客同士でも自然と会話が弾むような、アットホームな雰囲気のお店です。
カウンター奥のメニューには「本日のおすすめ」と「酒のあて」、そして定番メニュー「いつものわだち」が書かれています。
このほかにも、簡単なメニューならリクエストもOK。
「無いものは作れないけどね。あと書いてるメニューも無いことがあるからゴメンね(笑)」とマスターの五十嵐さん。
最初の一杯はやっぱり、キンッキンに冷えた「ビール(サッポロクラシック)」500円!
メンチカツや豚の生姜焼きなど、お酒にピッタリのおつまみやお惣菜が揃います。
また、定番人気だというのが「たまご焼」400円。
厚~く巻かれており食感はふんわり。砂糖やダシが効いていて、とっても優しい味わいです。
「轍」という店名は五十嵐さんが好きなサザンオールスターズの「希望の轍」という曲から取った名前なのだそう。
「あと、前は滝川でお店をやってたんだけれど、そこは自分の名前の”徹”ってそのままつけてたんだよね。こっちに移る時にあれ、徹と轍って似てるぞ!?って閃いて、そんなのもあってさ」なんて笑っていました。
店舗情報
名前 | 轍(わだち) |
電話番号 | 080-1979-0326 |
営業時間 | 17:00~22:30(LO22:00) |
休み | 日曜、ほか不定休の場合あり |
七福食堂
この地下飲食店街で一番古くから店を構えているのが「七福食堂」。
1976(昭和51)年にオープンしたというのだから、創業40年以上!
なお、現店主の古田さんは二代目で、お母さまが初代店主なのだそう。
店内はL字型のカウンターとテーブルの18席。
お昼時になると満席になり、外で待つ人がずらりと並ぶことも。
その人気の秘密が、殆どの人が頼むという「チャーハン」600円です。
具材は豚肉にニンジン、卵にタマネギとシンプルなのですが妙に後を引くウマさ。
味噌汁とサラダがついてくるのも嬉しいですね!
味の秘密を伺うと「特別なことは何もしてないんだけどね」と古田さん。
むしろその飾らない味が支持を集める理由なのかもしれません。
そんなチャーハン以外もオススメメニューはたくさん。
おでんは大根や玉子など1つ150円から注文できるほか、写真の「盛り合わせ」850円も用意します。
ダシがしっかり染みた豆腐やフキなど、どれもお酒にピッタリの味わい。
冷えた「日本酒(一合)」400円(松竹梅)、550円(北の勝)や「生ビール」500円とあわせて楽しんでみては?
なお、基本的に通し営業ですがお米が無くなった日などは夜まで準備中になる場合も。
そして土曜は昼営業のみなのでご注意を!
店舗情報
名前 | 七福食堂 |
電話番号 | 011-221-1769 |
営業時間 | 11:30~21:00(LO20:00)、土曜は11:30~15:00 |
休み | 日曜 |
いっぴん定食 藤(2023年10月閉店)
ランチタイムになると近隣のサラリーマンで大賑わいになるのが「いっぴん定食 藤」。
地下飲食店街で30年以上営業を続ける老舗!
…だったのですが、2023年10月に惜しまれつつも閉店してしまいました。
良心的な価格とボリュームたっぷりのメニュー、そしてちょっとひとクセのあるマスターがいる名店でした。
往時の雰囲気を感じて頂けると幸いです。
店外のケースにはメニューのサンプルが飾られています。
こういう食品サンプルも、なんだかノスタルジックな感じで趣がありますよね。
店内はカウンターとテーブルの22席で、これぞ昔ながらの定食屋さん!といった雰囲気。
壁にはメニューが貼られていますが、どれもとっても良心的な価格。
マスターにオススメを聞くと、「ウチは大してオススメなんか無いよ」と笑います。
この日はチキンカツが二枚乗る「ダブルチキンカツカレー」600円を注文。
ボリュームたっぷりなのにこの価格、とっても有難いです…!
また、ユニークだったのが「氷結レモン」400円。
缶を開けると素早くひっくり返して入れ、「これなら本物使ってるって分かるだろ」とコップに缶が入ったまま出てきます。
しっぽりと飲んだりもできる、まさに昭和の香りが漂う一軒でした。
店舗情報
名前 | いっぴん定食 藤 |
営業時間 | 特になし(不定) |
休み | 二日酔い、夫婦喧嘩の日など(不定) |
個性あふれるお店が満載の地下食堂街、ぜひ一度お立ち寄りあれ!
通ったことがあるだけで、ちょっと自慢のタネになるかも…?
※当記事の内容は2024年10月29日時点の情報です。