日本人として初めてスコットランドでウイスキーづくりを学んだ竹鶴政孝氏。
彼がウイスキーをつくるにあたって探し求めたのは、自らが学んだスコットランドと似た気候風土の土地でした。
そして全国をめぐった末見つけ出したのが冷涼で湿潤、そして潮風がそそぐ余市町。
この場所で会社を設立し、蒸溜所の建設に着手したのは1934(昭和9)年のことでした。
そう、2024年7月2日にニッカウヰスキーと余市蒸溜所は創業90周年を迎えるのです!
これを機会に、世界的に注目を集めるジャパニーズウイスキーの聖地へとバスでお出かけしてみませんか?
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札幌からは「高速バス」でアクセス
札幌中心部からおよそ50km、積丹半島の根本にあたる余市町。
札幌からのバスは道庁赤れんが庁舎前の「札幌駅前(高速)」①のりばから発車しています。
バスは余市町を経由する高速しゃこたん号・いわない号・ニセコ号のいずれかを利用。
こちらのリンクからも時刻表が確認できます。
なお、便数の多い高速おたる号はJR小樽駅前までのバスのためご注意を!
バスの所要時間はおよそ1時間40分、下車と帰りの乗車は「余市駅前十字街」にて。
降りて3分ほど歩けば目的の「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」です!
なお、注意点として…ガイド・試飲付きの蒸溜所見学は事前予約が必要です(ミュージアムや売店、レストランは不要)。
予約はHPまたは電話から可能で、4週間先まで受付しています。
そして当然、アルコールを試飲する場合は運転はNGです。
というわけで、ぜひバスでアクセスを!
ガイド付きツアーで歴史とウイスキーづくりを学ぶ
ガイド付きツアーは試飲の行程をあわせて70分ほど。
9~15時まで、30分ごとに開催しています(12時30分~を除く、また15時~のツアーは短縮案内)。
入口にて受付を終えたらビジターセンターで開始時刻まで待機。ここから見学スタートです!
ウイスキーづくりを工程順に追っていきます
まずは余市蒸溜所の概略など15分ほどの映像を見てから、蒸溜所内を巡っていきます。
最初に案内していただいたのは、大麦をピート(泥炭)で乾燥させて独特の香りがついた麦芽(モルト)をつくる乾燥塔(キルン塔)。
この乾燥塔、現在は使われていないのですが、ピート香るスモーキーなウイスキーを製造する余市蒸溜所のシンボルと言える施設です。
乾燥させた大麦は粉砕し、65度以上のお湯と混ぜあわせて糖化液という甘い麦汁にします。
この糖化液にウイスキー酵母を入れて発酵させればアルコール度数約8%のもろみができあがり、蒸溜作業に入ります!
世界でも稀な「石炭直火蒸溜」を行う蒸溜棟
こちらがもろみを800~1,200度で加熱して蒸溜し、アルコール度数を高める蒸溜棟。
銅製の釜は「ポットスチル」といい、余市蒸溜所の釜はラインアームという先端部が下向きに傾いているのが特徴です。
また、余市蒸溜所の象徴とも言えるのが世界でも稀な製法である石炭直火蒸溜。
火力調整に熟練の技術が必要で、かつ手間もかかるためほかの蒸溜所では廃れてしまいましたが、複雑な香味が得られることから今もこの手法にこだわります。
温度を一定に保つためには、およそ10分おきに石炭を加えたり火をかき混ぜたりする必要があるのだそう。夏の蒸し暑い日も、冬の凍てつくような日もごうごうと燃える火と向かい続けます。
ちなみに、ポットスチルにしめ縄が巻かれているのですが、これは実家が造り酒屋の政孝氏が「いいウイスキーができるように」と日本酒づくりにならい巻いたもの。
また、奥から3番目にある小さなポットスチルは創業当時のものなのだそう!
ゆったりと年月を経て熟成
さて、蒸溜したもろみはおよそ63%までアルコール度数の上がった原酒となるのですが、これではまだウイスキーとは呼べません。
ウイスキーづくりで蒸溜とならんで大事なのが、何年も樽の中で寝かせる貯蔵・熟成。
創業時に建造された一号貯蔵庫では、原酒を樽詰めして熟成するようすが見られます。
蒸溜したての原酒は無色透明ですが、樽の成分が移って琥珀色になり、味にも深みを増していきます。
また熟成する間、原酒は樽の木目を通して蒸発していき、年に2~3%減っていくのだそう。
これを「天使の取り分(エンジェルズ・シェア)」と呼ぶそうで、昔の醸造家は「天使たちがウイスキーを飲んでいった、だけどそのおかげで美味しく出来上がるんだ」と考えたそうですよ。なんだかロマンチック!
最後は3種類のお酒をテイスティング
見学の最後はツアー限定で入場できるテイスティングホールで、いよいよお酒を試飲!
味わえるのは余市蒸溜所製の「シングルモルト余市」と政孝氏が亡き妻・リタへの感謝をこめてつくった「スーパーニッカ」、そしてニッカウヰスキーの前身・大日本果汁株式会社の時代から製造している「アップルワイン」の3種類。
オススメの飲み方も教えてくれるほか、アルコールが飲めない方にはソフトドリンクも用意しています。
アップルワインは甘く豊潤で、ブランデーのような味わい。
スーパーニッカはまろやかで飲みやすく、シングルモルト余市は力強くガツンと強烈!
また、オススメの飲み方に従って加水したりロックで飲むと、味や香りの変化が楽しめますよ♪
最後まで楽しみが満載のツアーでしたが、これで無料とは驚きです。
そして、ツアーを終えた後もお楽しみはまだまだあるんです!
自由見学ゾーンも見どころたっぷり!
ここまで紹介してきたのはガイドツアーのコースでしたが、自由見学ゾーンも見どころ満載。
こちらは事前予約なしで見学できるので、ふらりと訪れてもOKです!
ここだけでも丸一日楽しめる!「ニッカミュージアム」
2023年に全面リニューアルを行った「ニッカミュージアム」では、ブレンダーの視点からウイスキーづくりを紹介する「ブレンダーズ・ラボ」やニッカウヰスキーを代表するブランドに焦点をあてた「ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー」など注目の展示が満載。
「余市」「竹鶴」「ブラックニッカ」「フロム・ザ・バレル」4種類の歴史や特徴、ブレンドなどを深く掘り下げており、それぞれの味へのこだわりを通してニッカのものづくりにかける思いにも触れることができます。
その奥には有料試飲コーナー「テイスティング・バー」もあり、こちらには蒸溜所限定品から定番のブラックニッカスペシャルまでずらり。
2024年4月1日からは飲み比べができる3種セットも登場し、評判を呼んでいます。
「余市限定キーモルト3種セット」1,600円を注文したのですが、ホワイトオークの新樽を使った「ウッディ&バニラ」、シェリー樽の「シェリー&スイート」、ピート香が強く潮の風味も感じさせる「ピーティー&ソルティー」とそれぞれ個性豊か。
さすがにじっくり味わいながら飲み比べると、違いがわかってひと安心…
特に1:1で加水をすると華やかさや甘さが増し、より特徴が際立ちますよ!
そして「竹鶴イズム」のコーナーでは政孝氏の生い立ちやニッカウヰスキーのストーリーをさまざまな資料や映像のほか、漫画などでも紹介。
自筆のノートやニッカ第1号ウイスキー、妻・リタとの交換日記など貴重すぎる展示が満載です!
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リタのレシピが味わえる「RITA’s KITCHEN(リタズキッチン)」
ニッカミュージアムを見学した後立ち寄ってほしいのが「RITA’s KITCHEN(リタズ・キッチン)」。
ここではリタが遺したレシピに基づいた料理などが味わえます。
今回注文したのは「ローストチキン1/4CUTプレート」960円とスープ、パンがつく「Aセット」520円。
このスープ、グリーンピースをポタージュ状にこしているのですが、これはリタのレシピそのままの作り方なのだそう!
ローストチキンもリタの調理法をもとに現代風にアレンジしており、外はこんがり、中はふっくらジューシー。1/2CUTや丸鶏のプレートもあったのですが、1/4で十分な大ボリュームでした!
最後に「ディスティラリーショップ」でおみやげを
売店の「ディスティラリーショップ」も2024年にリニューアル。
以前立ち寄ったことがある方なら、ガラリと変わった雰囲気に驚くはず!
とはいえ、販売する人気商品に変わりはありません。
余市蒸溜所限定のウイスキーや宮城峡蒸溜所でつくられたシングルモルト、北海道らしいウイスキーを抱えた木彫りの熊やニッカグッズ、おつまみなど多彩ですよ!
「ひとりでも多くの人に、おいしいウイスキーを飲んでもらいたい」と日本でのウイスキーづくりを始めた竹鶴政孝氏。
その思いは脈々と余市蒸溜所に受け継がれ、ウイスキーを生み出す炎のように今も燃え続けています。
スポット概要
名前 | ニッカウヰスキー余市蒸溜所 |
住所 | 余市町黒川町7丁目6 |
電話番号 | 0135-23-3131 |
営業時間 | 9:00〜15:30最終入場(施設により営業時間に変動あり) |
休み | 12月23日~翌年1月7日(2024年は見学施設全面メンテナンスのため6月12日も休業) |
HP | https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/ https://twitter.com/nikka_yoichi |
バス停 | 「余市駅前十字街」から徒歩3分 |
行き方 | 【札幌駅から】「札幌駅前」から高速しゃこたん号・いわない号・ニセコ号(のりば①) ※バス停名からのりば地図が見られます |
※当記事の内容は、2024年4月23日時点の情報です。