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「まき太郎」ができるまでに密着!復刻連載「代燃車物語 よみがえる薪バス」part2

前回、まき太郎の素材となるエンジンやボディー集めに奔走した準備委員会。
各地を奔走した苦労に偶然も味方して、昭和47年式の消防自動車や昭和39年式のボンネットトラックを入手できました。

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中央バスが誇る、国内に数台しかないという代燃車バス「まき太郎」をご存じでしょうか?北海道中央バスの創立50周年記念事業として造られた薪で動くバスで、現在も各種イベントなどでその姿をお披露目しています。 ボンネットバスならでは[…]

今回の記事では集めたエンジンやボディを解体・再構築し、新たに「マキバス」(まだまき太郎ではありません!)を作っていきます!

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いよいよ解体開始(平成4年5月号復刻)

ボディーのベースとなるのが千歳で見つけた昭和47年式の電源車。作業はまず、外板を外すことから始められました。
いくらベースとなるボディーがあっても、形は大幅に手を加えなければなりません。

4月上旬にはすっかり外板を外しボディーの下地となる骨組み作業を開始。家の新築にたとえるならこれが基礎工事に当たります。
ボディーの設計図もなく、写真を見ての作業です

難題は、ベースが昭和47年式と新しい型なので、フロントウインドー部分を米里で見つけた39年式のボンネット箱型バスから外し、付け替える作業。
アール(曲線)のついているフロントガラスを平らにします。

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エンジンはガソリン用に

ベースとなる車のエンジンはディーゼルエンジンのため、ガソリン用のエンジンに取り替えなければなりません。
なぜなら、いきなりマキを燃料としてエンジンを回転させるのではなく、最初はガソリンでエンジンを始動させ、調子を整えてからガスに切り替えていくからです。

そこで、妹背牛(もせうし)町の消防自動車2台分を合わせ、代燃車用ガソリンエンジンを組み立てます。作業は4月に入ってからエンジン班が暇をみて整備しています。

まず、車から取り外したエンジンとミッション部分は、消防自動車だったため、エンジンのほかに消火用水ポンプが付いていました。
このポンプは、全長2mにもなり、これを外すことで1m50cmくらいに縮小します。

続いて、クラッチとミッション部分を取り付け、ベースとなるボディ用に合わせます。
4月中にはエンジンをボディーに載せて、エンジンの長さに合わせ、板金班がボンネット部分の製作、取り付けをします。

これからの課題はマキをたいて発生させるガスをどのようにエンジン部分に送り、マキ燃料を動力化していくかです。
現在付いているガソリンエンジン用キャブレター1個に、さらにガス用混合器を付けなければなりません。これには綿密な設計図が必要です

神奈川中央交通の三太号を視察

4月6日、整備部長と札幌工場長がマキバス「三太号」を所有している神奈川中央交通厚木営業所を訪ねました。目的は、ガスの発生装置を見ること。

厚木営業所では、整備の人たちはもちろん、実際に製作に携わり、すでに定年退職をしている元職員さんも駆け付け、製作段階の苦労話を聞かせてくれました。

思ったより、手作りの感じがした」と中央バス工場長の感想。ボンネットバス自体もウインドーから前は消防自動車のままで、あとははがして組み立てていった様子。ドアや窓枠はレトロ調を出すため木枠でした。

隅々まで写真をとり各部分のサイズを測ってきましたが、マキを不完全燃焼させるカマの中はすでにマキが入っていて動かせる状態だったため、のぞき見ることは不可能でした。

視察で問題点として残ったのは、マキを燃やすことで発生する煙にガスを含んでいるので大丈夫か。三太号はマキ専用だが、こちらはマキとガソリンの両方なので、切り替えを付けるのに危険性はないのか。
これらの点が今後の課題となりました。

集まる情報

地元新聞や全国版の日刊自動車新聞に「マキバス製作」の記事が掲載されると、全国各地から多くの反響がありました

札幌市のTさんからガス発生炉図面の提供、中川郡本別町のMさんから第4陸軍技術研究所編さんの「薪炭代燃車取扱説明書」、図面の提供のほか、12名の方々からたくさんの情報や資料が寄せられました。
どれも貴重な内容のものばかりで、ひとつひとつ目を通し、必要な情報を選び出すのにも大変な苦労を要しました。

メーカーからの資料や部品の提供

4月に入ってから、札幌の日野自動車からは、昭和30年代のものらしいフロント部分のラジエーターグリルの提供がありました。
同様にいすゞ自動車からは、昭和40年代と思われるエンジンのボンネットになる部品の提供。いずれも新品のものです。
トヨタ自動車からは、資料として1962年と1965年に発売したトラックやバスの解説書が寄せられました。

資料を基に図面を起こす

神奈川中央交通視察、一般からの資料提供、各自動車メーカーからの協力を基に、整備部長が図面を起こし、4月21日の第2回マキバス復元委員会で発表。ガス発生炉、分離器、清浄器、冷却装置など各設計図の説明をしました。
同時に今までの経過と今後の計画、課題などを話し合いました。

課題としては、技術面でマキガスとガソリンをエンジン部分でどう切り替えるのか、燃料となるマキの調達方法など。
マキについては硬いナラやクルミを使用しますが、早めに調達して、よく乾燥させなければなりません

ボディーづくりに取りかかる

4月下旬にはエンジンをボディーに搭載し、前まわりの作業に入りました。
日野自動車から提供のあったラジエーターグリルに手を加え、古いトヨタボンネットタイプのものに加工します。

バス後部には石狩町生振(おやふる)のドライブインで休憩所として使用していた、三菱ふそうの昭和38年式・型式R470を見つけました
さっそく譲り受け、後部リアに取り付けました。石狩の浜風に吹きさらしにされていたとは思えないほど、骨組みがしっかりとしていました。

空知工場でガス発生装置を作る

現在、ガス発生装置を中央バス空知工場で作り、ボディーとそのほかの装置を札幌工場で仕上げ、できあがったものを合体させる方法で作業が進んでいます。
マキバスを実際に扱った人が少ない中で、お互いのイメージを交差させ、両工場が模索しながら一台のマキバスを作り上げていきます!


kato

第二回の記事はいかがでしたでしょうか?
だんだんとマキバスのベースができあがってきましたね!
ただ、完成はまだまだこれから。次回の記事もお楽しみに!

これさえあれば、どこへでも。

今いる場所から近いバス停の場所も、目的地までのバス路線も、バスの現在地も、すべてがこれ一つでわかります。

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