前回、カマへの火入れも無事完了したマキバス。
今回はエンジンをかけ、実際に走行できるかをテスト!
車内付属品などの製作も進み、完成は間近です!
\前回の記事はこちら/
代燃車の復元準備委員会が発足したのが、1992年2月10日のこと。それから4か月。整備部の苦労が実を結び、マキバスの命とも言えるカマが完成!役員や工場長らが出席して「火入れ式」も行い、発車準備を着々と進めます! \前回は[…]
エンジンがかかるまでの長い一日(中央バスグループ誌『ふれあい』平成4年8月号復刻)
空知工場で製作されたガス発生装置は、6月30日に無事札幌整備工場に到着。
カマの総重量は420kg、これに付属品を取り付けたボディーを合体させると、マキバスの車両重量は5,540kgになる予定です。
同30日にはすでにボディーの骨組みが完成、午後からは外板の組み立て作業に入りました。
あらかじめ骨組みに合わせて裁断した厚さ1mmのボディー鋼板に、リベット用の穴をあけて打ち込んでいきます。
作業はひとつのリベットに外側と内側にそれぞれひとりずつ、相方が受けとめてしっかり締めます。
ガソリンでの走行は問題なし
リベット打ちが終わった7月上旬には、原動機の出力とギア比を見るため、工場構内で試運転。
元はディーゼルエンジン車でこれをガソリンエンジンに載せ替えたもの。「ちょっと遅いが、まずまず」と予想通りの走り。
ほどよい力で、修正するところはありませんでした。
車内付属品の準備
車内の床は昔のバスで使用していたフローリングを敷き詰めました。工場の倉庫の奥深くに眠っていたものです。
シートはコの字形に配列する三方シート。シート生地はこれも昔の市内バスで使用していた紺色のレザーで、こちらは小樽の業者が在庫していた古い物です。
マキバスは立席も入れると40名乗りになります。
車両総重量きまる
ボディーの重量を測った結果、フロントの軸重が1,783kg、リヤーの軸重3,757kgでした。
これに乗車定員40名の荷重分布を計算すると、概算でフロント荷重240kg、リヤー荷重1,960kgとなり、車両総重量は7,740kgで、約8tということになります。ガス発生装置を載せても普通のバスの約3分の2の重さになります。
車両総重量が決まると、法令で決められた1本にかかる重量に適したタイヤのサイズが出ます。
750-20-12プライ(タイヤの強度)、パターン(タイヤの模様)は懐かしい横溝タイヤを装着します。
マキでエンジン始動
ガス発生装置をボディーに載せる前に、予備用エンジンで始動のテストを行いました。
空知工場ではガスの発生具合を見ただけだったので、今度は実際に発生したガスでエンジンが始動し、走れるかどうか加速性能のテストです。
7月24日、炎天下の中、何度も何度も空気混合器とアクセルの微妙な具合を調整しながらエンジンをかけてみますが、ブルブルとちょっといい音が出ても持続しません。
暑さとあせる気持ちがピークに達したときに「バチッ!」と電気系統がショート。
一瞬「動かないのでは」と皆の気持ちがよどみ、それまで連発していた冗談もピタッと止まり、だれもが無口になりました。
昼休みをはさみ、気持ちを取り直して再びトライ。それでもガスの濃度が一定しないのか「もうちょっと」の掛け声が続きます。
午後3時10分、ようやく一定した音でエンジンが始動しました。深い安堵のため息。みな、胸をなでおろしていました。そしてエンジンは順調に1時間ほどかかり続けました。
作業着は煙のにおいと汗でぐっしょり。長い1日でしたが、これでバーをひとつクリアし、大きく前進したことになります。
ハラハラする展開もありましたが無事エンジンも始動、あとは内外装を仕上げれば完成!
次回で最終回!9月20日の「バスの日」に合わせていよいよお披露目です!
※当記事の内容は2024年7月6日時点の内容です