中央バス・北郷線のバス停「北郷公園」を下車し、すぐそばを流れる月寒川の河川敷を北に歩くと突如現れるのが、どーんと鎮座する見事な大仏さま。
柔和な雰囲気に癒されるとともに、なぜここにこれほど立派な大仏さまが!?と湧く疑問。
看板の案内によると「札幌薬師大仏(薬師如来)」という、北海道で初めて建立された青銅製の大仏像なのだそう!
のどかな雰囲気のなか、ある種異質な存在感をはなつ、威厳のあるすがた。
どんな由来があるのか、大仏を建立した大昌寺(だいしょうじ)さんにお話をうかがいました。
建立したのは曹洞宗のお寺「大昌寺」
札幌薬師大仏を建立したのは、道路を挟んで向かいに建つ大昌寺。
昭和29(1954)年に開創し、70年の歴史をもつ由緒あるお寺です。
札幌薬師大仏が建立したのは2009年のこと。2003年に人々に安寧を与えることを目的に発願し、奈良薬師寺のご本尊を勧請※し6年をかけて完成しました。
重さは約25トンで、高さは台座もあわせておよそ13m70cm。
鋳造は山形県で行い、部品ごとに分けて輸送し組み立てたというのだから、大変な作業です。
※かんじょう、神仏の分霊を迎えること
かなたを厳かに、かつやさしく見つめる表情は、心身の病を治すご加護をもつ薬師如来にふさわしい佇まいです。
原型は仏師の鏡恒夫氏が行い、監修を奈良国立博物館の元館長らが行うなど、そうそうたる方々が関わっているのだそう!
大仏さまの足元にある看板には、功徳や創建の由来が書かれています。
「道内はもちろん、道外からも足を運び参拝される方もいるんですよ」とお寺の受付や広報を担当する松林さん。
大仏さまにお参りをする際はそれぞれ決まった文句があるって、知っていました?
札幌薬師大仏では薬師如来の真言「オンコロコロ センダリ マトウギ ソワカ」と唱えます。
この真言を無心に唱えることで、加護と癒しの力を得られるとされています。
看板の隣では「身心平癒」と書かれた大仏ローソクと大仏お線香がそれぞれ50円で販売されています。
また、大昌寺内にはおみくじなどもあるそうなので、後で向かってみます♪
コロナ禍は落ち着きを見せましたが、災害や紛争など予断を許せない今のご時世。
お参りをして大仏ローソクにも火を灯し、自身と世の中の身心平癒を祈願しました。
客殿「吉祥閣」ではおみくじや御朱印もいただけます
お守りなどは本堂の隣にある客殿「吉祥閣(きちじょうかく)」で販売。
「お寺って用事が無いと入りづらいと思いますが、気兼ねなくお立ち寄りください」と松林さん。
大仏さまの足元で見かけた薬師おみくじやお守り、そのほかクリスタル大仏やお湯を注ぐと絵柄が変わる湯のみなど、各種大仏アイテムも。
そして御朱印も300円の納経料でいただくことができます。
御朱印帳を持参すれば直接染筆してくれますが、僧侶の方が不在の時もあるため、あらかじめ連絡してから行くと確実です。
耳寄り情報として…1月の御朱印は札幌薬師大仏にちなんだ限定絵柄に!
ぜひ2種類とも記帳してみてください♪
宮大工の手による本堂もスゴい!
実は大仏さまに劣らずスゴいのが、大昌寺の本堂。
1400年以上の歴史を持つ世界最古の会社・金剛組の宮大工が手がけた、釘を一切使わない純木造の木組み建築なのです!
金剛組の創業は飛鳥時代の578年、四天王寺建立のため聖徳太子に百済から招かれた宮大工にルーツを持つ、社寺建築のエキスパート!
本堂ではきらびやかな装飾の中、御本尊である釈迦如来が厳かに祀られていました。
ここでお盆やお彼岸法要を行うのはもちろん、大晦日には除夜の鐘撞に続き午前0時すぎから新年のお参りにも参列できます。
そしてひと際目をひいたのが、礼拝の読経の時に使う巨大な鏧子(けいす・左)と木魚。
法要のあいだ棓(ばい)という大きな棒で木魚を打ち続けるため、なかなかの重労働です。
松林さんも「お坊さんって意外と体力も必要なんですよ」と笑います。
月に一度、無料の坐禅会も開催
曹洞宗の認可を受けた参禅道場である大昌寺。
月に一度、第3土曜日の15:00から無料で坐禅会も行っています。
坐禅堂に通していただいたところ、とっても静謐な雰囲気。
この空間で約30分のあいだ坐禅を組めば、雑念も取り払われそうです。
坐禅の際にお尻に敷く坐布(ざふ)にもなんだか味を感じます。
ちなみに、足が組めない方は椅子でも体験できるそう!
坐禅堂の中央に鎮座するのは智慧を司る文殊菩薩像。
ただひたすらに坐る「只管打坐(しかんたざ)」に打ち込む姿を見守ります。
坐禅はどなたでも参加できますが、2日前までに予約が必要です。
真っすぐな座り方を学び、ゆっくりと呼吸をして心をととのえる。
忙しい日々のなか、そんなひと時があってもいいのかもしれません。
スポット概要
名前 | 大昌寺 札幌薬師大仏 |
住所 | 札幌市白石区北郷2362 |
電話番号 | 011-871-2234 |
料金 | 観覧無料 |
予約 | 不要(坐禅会は2日前までに電話で要予約) |
時間 | 8:00~16:00(境内開門時間) |
HP | https://sotozen-navi.com/detail/index_10456.html |
バス停 | 「北郷公園」下車徒歩7分 |
行き方 | 【地下鉄白石駅から】「地下鉄白石駅」から白23 白石営業所ゆき(のりば③) 【JR白石駅から】「JR白石駅北口」から白23 地下鉄白石駅ゆき(のりば①) ※バス停名からのりば地図が見られます |
※当記事の内容は、2024年10月23日現在の情報です。