
お寿司といった「海鮮」や若鶏を香ばしく揚げた「半身揚げ」、さらには「スイーツ」など名物料理が多い小樽。
そんなグルメな街でも、市民の定番と言えるのが「あんかけ焼そば」です。
ところで、なぜあんかけ焼そばが定番なのか? ちょっと不思議ではありませんか?

そんな疑問を晴らすべく、小樽のあんかけ焼そば文化をPRしている市民団体「小樽あんかけ焼そば親衛隊」に取材を敢行しました!
さらに、親衛隊に協力する老舗や個性たっぷりな人気店を紹介します!
「小樽あんかけ焼そば親衛隊」ってナニ?

今回取材に応じてくれたのは「小樽あんかけ焼そば親衛隊」の副隊長を務める渋間靖さん。
設立の当初から活動しているメンバーの一人です。

親衛隊の設立は2012年のこと。もともとあった「小樽あんかけ焼そばPR委員会」を継承・発展する形で活動を開始しました。
B-1グランプリへの参加のほか、小樽あんかけ焼そばのコラボメニュー監修、子供たちや市内の主婦への料理教室なども行い、積極的に周知を図っています。


「小樽の人は皆あんかけ焼そばが大好き。私も子供のころ、週末になると親があんかけ焼そばのあるお店に連れて行ってくれて、そのたびにワクワクしていました」と渋間さん。
そんなあんかけ焼そばを各地にPRしようと、焼そばを提供しているお店ではなく、街の有志が集まって活動しているのが親衛隊の特徴です。

「特定のお店の宣伝ではなく、小樽にあんかけ焼そばが根付いていると知ってもらい、それをきっかけに小樽の観光や発展に寄与する、というのが一番のテーマなんです」と語ります。
その活動が実を結び、全国区のテレビでもたびたび取り上げられ、小樽=あんかけ焼そばというイメージは着実に定着しています。

設立当初は「あんかけ焼そばなんてどこでも食べられる」という声もあったそうですが、今ではあんかけ焼きそば目当てに小樽へ訪れる方も増えています!
あんかけブームは70年ほど前、一軒のお店から

現在小樽市内にはあんかけ焼そばを提供するお店が100店舗以上あるといいます。
これは中華食堂やラーメン店のほか、レストランや居酒屋などでも提供されているため。
そして、中華食堂では売り上げの6~9割をあんかけ焼そばが占めるのだそう!

小樽市民がどれほどあんかけ焼そばを愛しているのか…ちょっと想像以上でした。

そんなあんかけ焼そばにはブームの火付け役が存在します。1957(昭和32)年に小樽駅近くに移転オープンし、その頃からあんかけ焼そばを提供しはじめた「中華料理 梅月」です。

「梅月の味が大評判となり、デパートでショッピングをした帰りにあんかけ焼そばを食べる、というのが一種のステータスになったそうです」と渋間さん。
その人気にあやかり、市内のホテルや喫茶店でも次々にあんかけ焼そばがメニューに並ぶようになっていったのだとか。

なお、「梅月」が小樽のあんかけ焼そば発祥の店かというのは諸説あり、昭和25年頃には別のお店で提供されていたそう。
しかし、ソウルフードと言えるまで世に広めたのが「梅月」というのは間違いないようです。
小樽あんかけ焼そばの特徴って?


取材の中で気付いたのが、お店によって具材や味付け、見た目も異なるということ。
そのため、同じあんかけ焼そばでも食べ比べてみると、各店ごとの個性が際立ちます。
こちらについて訊ねると「例えば地元産の○○や××といった食材を使うだとか、調理法の決まりだとか、そういった定義が実はないんです」と話します。

「ただし特徴は3つあって、餡を固めにしていること。そして、ボリュームがたっぷり!最後に麺をしっかりと焼いていることです。それにカラシ・紅ショウガ・お酢の『三種の神器』の用意ですね」

あんかけ焼そばは、もともとは寒い小樽で働く人たちのために考案された料理。
そのため、餡を固めにして冷めにくくし、ボリュームたっぷりの具材と一緒に食べられるよう焼いた麺の上に乗せたと言われています。

「また、ご存じの通り小樽は海に面した倉庫の街です。良質な小麦や砂糖といった食材が運ばれ保管されており、身近に使えたというのも麺が流行った理由なのでは」と渋間さん。

港町という立地や冬の寒さ、ハイカラなものを好む風土、そういった要因が重なりあんかけ焼そばが根付いたのでしょうか。
小樽であんかけ焼そばを食べる時は、まち文化にも思いを馳せてみてはいかがでしょう?
親衛隊の協力店から、老舗や個性派をピックアップ!

最後に、小樽あんかけ焼そば親衛隊の活動に協力する店舗をいくつかピックアップ!
今回紹介した以外にも人気店はまだまだありますので、親衛隊HPにてチェックを!
中華食堂 桂苑


JR小樽駅からすぐのアーケード街「小樽都通り商店街」にある中華料理店が「中華食堂 桂苑」。
開店前から行列ができる人気店ですが、殆どの注文は「あんかけ焼そば」920円です。
ラーメンなど他にも麺メニューはあるのですが、あんかけの注文を聞くやいなや「麺一丁!」という掛け声が店内に響きます。
\お店の詳細は下記の記事にて!/
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小樽あんかけ処とろり庵


小樽の多くのお店に麺を提供する1949(昭和24)年創業の「兼正(かねしょう)阿部製麺」。その阿部製麺が直営するのが「小樽あんかけ処とろり庵」です。
口当たりのいい細縮れ麺を使った「あんかけ焼そば」1,100円はとっても滑らかなのどごし。
シャキシャキの野菜や豚肉やエビといった具材も美味ですが、やはり麺の味わいが特筆モノです!
\お店の詳細は下記の記事にて!/
今や全国区のご当地グルメとして知られる小樽あんかけ焼そば。市内には独自のメニューを掲げるさまざまなお店がありますが、その多くに麺を提供しているのが昭和24(1949)年創業の老舗「兼正(かねしょう)阿部製麺」です。そんな兼正阿[…]
小樽中国料理 好(ハオ)


小樽運河に面して建つ、小樽市指定の歴史的建造物「協和浜ビル」。ノスタルジックな雰囲気を感じさせるこのビルに入るのが「小樽中国料理 好(ハオ)」です。
ランチ限定の「五目あんかけ焼きそばセット」1,260円は、通常サイズのあんかけ焼そばに小ライス、シュウマイ、サラダ、スープ、そしてザーサイまでつく大満足の内容!
\お店の詳細は下記の記事にて!/
30年以上にわたり、小樽で愛されるレストラン「小樽中国料理 好(ハオ)」。小樽運河のすぐ目の前という好立地で、観光客はもちろんですが地元客も足繁く通う老舗です。そんなレストランでも定番の人気を誇るのが、あんかけ焼そば! […]
中華食堂 龍鳳


小樽駅から700mほど、「梁川(やながわ)通り」の北の端にある「中華食堂 龍鳳」は、小樽随一のユニーク&大盛りなあんかけ焼そばで知られるお店。
写真の黒々としたあんかけ焼そばは「ブラックサバス焼きそば」(ハーフサイズ1,200円)。
中華のたまり醤油と日本の醤油を合わせた真っ黒なビジュアルと、山椒が効いたスパイシーな味わいはほかにない一杯です。
\お店の詳細は下記の記事にて!/
エビラ、ニャンかけ、ファイヤーバード、腹黒、そしてブラックサバス…これらは何の名前か分かるでしょうか? 答えは、メニューに並ぶあんかけ焼そばの名前です!「中華食堂 龍鳳」は数々のユニークなあんかけ焼そばで知られる人気店。 […]
中国料理 華舟


真っ赤な外観が印象的な「中華食堂 華舟」はレトロな飲食店が集う「花園エリア」の一軒。
鍋を振るう店主・鈴木幸安さんは、なんと「中華料理 梅月」で修業した方。
「あんかけヤキソバ」950円を注文すれば、伝統の味が堪能できますよ!
\お店の詳細は下記の記事にて!/
小樽市民のソウルフードと言えるB級グルメ・あんかけ焼そば。市内にはあんかけ焼そばをメニューに掲げる店は100店舗以上あると言われています。そんなあんかけ焼そばの元祖と言われる「中華料理 梅月」で修業した店主が鍋を振るい、伝統の[…]
※当記事の内容は、2025年3月12日時点の情報です。